「7月からパスポートが安くなるらしいから、それまで待とうかな」。海外旅行を考えている女子のあいだで、最近こんな声をよく聞きます。
結論から言います。2026年7月1日から、10年パスポートの手数料は電子申請で8,900円。今より7,000円も安くなります。これは過去の手数料の流れから見ても異例の下げ幅です。
でも、同じ7月1日からもう一つ変わるものがあります。海外に出るときにかかる「出国税」が、1,000円から3,000円へと3倍に上がるのです。安くなる入口と、高くなる出口。この二つを同じテーブルに並べないと、本当の損得は見えてきません。
この記事では「旅好きな女子」の私が、女子旅・一人旅の現実的な目線から、パスポートを今申請すべきか7月まで待つべきか、結局いくら得で誰が動くべきかを、数字で検証していきます。
7月1日から何が変わる?パスポート手数料は「異例の値下げ」
10年旅券は電子申請で8,900円。1万円を切るのは異例
旅券法の改正により、2026年7月1日の申請分から手数料が引き下げられます。私たち女子旅世代が一番手にする10年パスポート(18歳以上)の場合、窓口申請で9,300円、マイナンバーカードを使った電子申請なら8,900円です。現行は窓口16,300円・電子15,900円ですから、電子申請で7,000円も安くなる計算になります。
10年使えるパスポートが1万円を切るというのは、過去の料金推移から見てもかなり思い切った水準です。これまで「パスポート代だけで1万5千円以上か……」とためらっていた人にとって、海外への心理的なハードルがぐっと下がります。
子ども料金は一律に。家族旅行のハードルが下がる
変わるのは大人料金だけではありません。2026年7月1日から12歳未満の料金区分が廃止され、18歳未満の5年旅券は電子申請で4,400円に一本化されます。これまで子どもの分でも数千円かかっていたことを考えると、お子さん連れのママ世代には朗報です。「子どもが小さいうちに海外を見せてあげたい」という家庭の後押しになりそうです。
注意:18歳以上の5年旅券は廃止される
意外と知られていないのが、18歳以上向けの5年旅券が廃止される点です。これまで「とりあえず短い5年で安く」という選び方をしていた人は、7月以降は10年旅券を選ぶことになります。10年のほうが1年あたりの単価は下がるので、長く旅を続けたい人にはむしろ好都合ですが、選択肢が一つ消えることは頭に入れておきましょう。
でも「出口」は値上げ。差し引きでいくら得なのか
同じ7月1日、出国税が1,000円から3,000円へ
パスポートが安くなる一方で、海外に出るときに必ずかかる「出国税(国際観光旅客税)」が、2026年7月1日の出国分から1,000円から3,000円へと3倍に引き上げられます。これは航空券代に自動で上乗せされる税金で、日本人も外国人も、出国する人全員が対象です。オーバーツーリズム対策や観光施策の財源にあてられます。
ここで私が「安くなった、やった」で終わらせたくないのは、この二つが同じ日に施行されるからです。値下げされた入口と、値上げされた出口。両方を見ないと、財布の現実は見えません。
1回の旅なら実質5,000円の得。でも前提条件がある
10年旅券を電子申請で新しく作り、その年に海外へ1回行くとします。すると旅券の値下げ7,000円から出国税の増額2,000円を引いて、実質5,000円ほど負担が軽くなる計算です。数字だけ見れば、やはり「今より安く海外に行ける時代」が来るのは確かです。
ただし、ここには見落としやすい前提があります。旅券の値下げは10年に1回しか効きませんが、出国税の値上げは出国するたびに毎回効いてくるという点です。年に何度も海外へ出る人や、家族の人数が増えるほど、出国税の増額分が積み上がっていきます。「安くなった入口」は一度きり、「高くなった出口」は行くたびに、という非対称が、この改定のいちばんのポイントです。
年2回以上行く人・家族連れは構造が変わる
たとえば私のように年に2回、3回と海外へ出る旅好きにとっては、出国税の増額が毎回2,000円ずつのしかかります。10年で旅券の値下げ分7,000円を取り戻すどころか、出国回数が増えれば増えるほど、トータルの負担は増えていく可能性があります。家族4人で年1回行く家庭なら、出国税だけで従来の4,000円が12,000円へ。旅券の値下げは家族分まとめれば大きいものの、毎年の出国税増は確実に効いてきます。自分が「何回・何人で」旅をするタイプかで、得か損かの答えは変わります。
女子旅・一人旅、結局いつ申請するのが正解?
夏に渡航予定なら「待つ」のは危険
「7月から安くなるなら待とう」という気持ち、よく分かります。でも、夏に海外渡航を予定しているなら、待つのはおすすめしません。外務省は、7月1日以降は値下げを待っていた申請が殺到し、通常約2週間の交付が約1か月に延びる見込みだと注意を呼びかけています。お盆に旅行を予定しているのに7月に申請したら、出発に間に合わない、という事態もあり得ます。
申請の基準は「受領日」ではなく「申請受理日」
ここが一番の落とし穴です。値下げ後の料金が適用されるかどうかは、パスポートを受け取った日ではなく、申請が受理された日で決まります。つまり、6月下旬に申請して7月に受け取っても、現行の高い料金が適用されます。「6月に出して7月に受け取れば安くなる」というのは誤解なので、値下げを狙うなら7月1日以降に申請する必要があります。
女子が見落としがちな写真と署名の準備
電子申請はマイナンバーカードとスマホがあれば自宅で完結しますが、女子ならではの注意点があります。顔写真は6か月以内に撮影した、国際規格を満たすものが必要です。スマホの自撮りでも申請できますが、前髪が目にかかっている、盛れる加工アプリを使う、背景に色がついている、といったものは規格外で差し戻される原因になります。署名画像は白い紙に手書きしたものを撮影します。10年間使う1枚だからこそ、写真は明るい自然光のもとで、加工なしで丁寧に準備するのが、結局いちばんの近道です。
旅子はこう見ている:安くなった入口に油断しないために
今回の改定は、政府が「日本人にもっと海外へ出てほしい」と「観光財源を確保したい」という二つの狙いを同時に込めた結果だと私は見ています。パスポートを安くして海外への一歩を後押ししつつ、出国税を上げて財源を取る。入口を広げて、出口で徴収する。よくできた設計です。
だからこそ、私たち旅する側は「安くなった」というニュースだけで気を緩めないことが大切です。数年に1回の人にとっては素直にお得な改定ですが、私のように何度も海外へ出る人や家族で動く人は、出国税の毎回2,000円増がボディブローのように効いてきます。自分が「どれくらいの頻度で、何人で旅をするか」を一度棚卸ししてみると、自分にとっての本当の損得が見えてきます。
そのうえで、夏旅を控えている人は値下げを待たずに今動く、予定が白紙の人は7月の混雑明けを狙う。これが現実的な正解です。安くなったのは旅の入口、上がったのは旅の出口。旅は、入口の値段だけでは語れません。
