ピアノで語る「通俗伊蘇普物語」イソップ物語×ピアノ×朗読×河鍋暁斎!?



ピアノ演奏 左手のピアニスト 智内威雄
朗読 大蔵流狂言方善竹隆司

2017.8.26[土]
白鷹禄水苑 宮水ホール
14:30 開場 15:00 開演

左手のピアニスト、智内威夫さんのピアノ演奏と、大蔵流狂言方の善竹隆司さんによる朗読の競演は、小泉八雲の「怪談」、宮本常一の「忘れられた日本人」に続き三回目となりますが、今回のテーマは、「イソップ物語」です。「イソップ物語」と聞くと、子供の向けの童話のようなイメージがありますが、実は16世紀末に紹介された日本で最初の翻訳物語であり、明治期に『通俗伊蘇普物語』として出版されると、当時一世を風靡していた絵師、河鍋暁斎による個性あふれる挿絵と相まって、たちまち大人気を博し、以来庶民の身近な題材として定着してゆきます。今回はこの『通俗伊蘇普物語』から、オリジナルの語り口をそのまま活かした朗読を善竹隆司さん、演目のために書き下ろされた楽曲の演奏を智内威雄さんで、暁斎の挿絵についても紹介しながら上演しました。

会場のスクリーンには、開演前から暁斎が手掛けたイソップ物語を題材とした挿絵が次々と映写されます。カラフルな錦絵そや、白黒の木版刷りなど様々ですが、そのなんともいえない無国籍感漂うユーモラスな表現に思わず引き込まれてしまいます。

冒頭、なぜか坂本龍馬脱藩時の紋付姿で現れた智内威雄さん。(後ほど、龍馬脱藩の道として知られる高知県梼原町が西宮の友好都市であることにちなんでの出で立ちであると種明かしがありました。)

プロローグのピアノ演奏「アベマリア」の後、いよいよ紋付袴姿の善竹さんが登場し、朗読が始まります。狂言で培われた朗々とした声と絶妙の間で展開するストリーにあわせ、作曲家、川上統さんが書き下ろした楽曲が効果的に演奏され、臨場感を高めます。

小動物を主人公にした微笑ましい話 
「田舎鼠と都鼠の話」
「呆鴉の話」
「犬と鶏と狐の話」

人間と動物のちょっと怖い話
「牧童と狼の話」
「獅子の恋慕の話」
「乳母と狼の話」

人間の間抜けな話
「老爺と息子と驢馬の話」
「胃袋と支体に話」

人間と、人間臭い神々の話
「風と日輪の話」
「信の神と旅人の話」
「ヘルキュス権現と旅人の話」

明治時代の出版なので一見私たちにとっては耳慣れない文章のように思えますが、聞くと独特のリズムがある、実に耳に心地よい文章だということがわかります。これは翻訳がすぐれた名文であったということもありますが、そもそも聞かすことを前提とした部分があったのではないかと思われます。学校の教科書に多く取り上げられたことからもわかるように、多分に「読んで聞かせる」啓蒙的な要素があったとも考えられ、明治時代という時代性の一端もうかがえるような気がします。その点においても、本日皆様に朗読でお聴きいただくことによって、日本における「イソップ物語」の位置づけや、本来の魅力をお伝えすることができたのではないかと思います。

あと西洋、元をたどればこの物語が生まれた紀元前のギリシャに帰される題材が、明治時代の日本においてでどうのように表現されているかも興味深いところです。ちなみに今回の朗読に含まれていた「ヘルキュス権現と車引きの話」のヘルキュスとは、ギリシャ神話に登場する英雄で、力の神様としても崇められていたヘラクレスのことで、これが明治時代の感性で「ヘルキュス権現」になるのも傑作です。

新しいことに挑戦しようというお二人による意欲的な試みが、この場が持つ独特の雰囲気と相まって、観客の皆様をどこか懐かしく不思議な世界へと誘うことができたのではないかと思います。


 
牧童と狼の話 (河鍋暁斎記念美術館蔵)
乳母と狼の話 (河鍋暁斎記念美術館蔵)
ヘルキュス権現と車引きの話(河鍋暁斎記念美術館蔵)
獅子の恋慕の話(河鍋暁斎記念美術館蔵)
 


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